TOMOIKU*ブログ
10.92019
精進料理“食禅”の基本:3つのルールと五感・旬の食材について
精進料理の基本「典座教訓」には、現代の食事に通用することが多く書かれています。
「3つの心得」である喜心きしん・老心ろうしん・大心たいしんを心がけて食事作りを考えてきます。
詳しくは別のページで綴っています。
Contents
精進料理3つのルール
精進料理は、肉を使わず、野菜・豆・穀類を使って調理した料理です。
殺生をせずに、日々、命に感謝をしながら“精進”していきます。
難しいルールがあるわけではなく、食材もおいしいものばかり。
料理をして思うことなのですが、野菜でも刺激がある食材・心が攻撃的になるような食材がないなぁ…と感じます。
常に、心穏やかになるような…そのような食事を作るときの食材が基本です。
精進料理ルール1.動物性たんぱく質と乳製品は禁止
精進料理では、一切の動物性たんぱく質(肉・魚介・卵など)は禁止されています。
生き物を殺めてはいけないという「不殺生戒」が大きく関係して、不足しがちなたんぱく質は「畑の肉」である豆類・大豆製品の豆腐や油揚げなどから摂ります。
そして、バターやチーズ・生クリーム・牛乳などの乳製品は、動物から摂取しているものなので、動物性たんぱく質同様、禁止されている食品です。
精進料理ルール2.五葷(ごくん)の禁止
野菜なら何でもOKと思われがちですが、五葷(ネギ・タマネギ・ニラ・ニンニク・ラッキョウ)を避けます。
五葷はニオイがきつくて精がつく野菜を禁止しているので、心と体が穏やかにさせる食べ物は、科学的に立証されていない時代からも感覚的にわかっていたのでしょう。
精がつきすぎても煩悩が生まれやすくなり、説法などに身が入らなくなるなど、修行に差し障りが生じるからです。
心と体を「落ち着かす(修行)」ということは、現社会でも大切なことです。
管理人の「五葷」に対する考え方
精進料理の教え人の中には、明文化された統一定義などはなく時代背景によっては、牛乳・バターなどを使用してもよいのではないか?…という方もいらっしゃいます。
植物にも動物魚介類と同様、尊い命があるので、基本はどんな材料でも等しく大切に扱って、無駄にしないで調理する態度を忘れず感謝して調理すればよいのではないか…と言われています。
時代の流れもあり、私も当サイトの運営にてご理解していただけると思いますが、精進料理だけで生きていく道の選択をしていません。
私にとって精進料理は、「心と体を整える道しるべとして取り入れた丁寧な生活」をしていきたいと思って参考にしている分野です。
食べない五葷であるネギ・タマネギ・ニラ・ニンニク・ラッキョウは大好きですし、血液サラサラ効果もあります。
精進料理が確立された時代の社会や生活・食のあり方などが違うので、五葷は現代において食べた方が良い食材とも考えています。
考え方は人それぞれです。
当サイトの運営コーナーによっては五葷も使用し、おすすめしている食材であることをご理解いただけますようお願いします。
精進料理ルール3.“だし”の取りかた
“だし”をつくるにあたり思いつくのが、鰹節・煮干し・コンソメなどだと思いますが、一切禁止です。
昆布・戻しシイタケや乾燥野菜の戻し汁・豆類や根野菜の下茹でしたお湯を使います。
普段は動物性の“だし”に慣れている生活をしているので、味が薄く感じます。
精進料理が「味が物足りない」と言われるひとつの原因かもしれません。
しかし、ほのかな甘味が素材の味を引き出しますし、醤油や味噌・発酵食品でうま味を加えたり、胡麻などの味付けで素材を生かしながらもおいしく味付けができます。
限られた食材で、食べてくださる相手を想い、食事を整える…
これこそが「精進料理の心得」と言えます。
精進料理は五感をひらく
静かな場所で耳をすますと、鳥のさえずり…風の音…
生活の中でも、顔色が悪いけど、大丈夫?…と、人は五感を使って生きています。
その五感が鈍いと、生き残れないとも言われているほど大切ですが、どこか不調な感があっても、他の感が働くもの。
何かを感じて生きています。
感じるために意識を傾けていくと、感じる質感がまったく違ってきます。
料理をしていると、何かを焼くニオイを近くにいる人は感じることができますよね。
意識してくと、閉じていた感覚がひらいていきます。
濃いタレで食べないと、「おいしさ」を感じられなくなっている現代人の私たちは、どれだけ味の素材の感覚がわかっているのでしょう。
感じようとする意識を高めると、心にしっくりする想いや記憶が見つかります。
そしてそれは精進料理に限らず、五感を研ぎ澄ましていくと、小さな出来事や小さな気遣いを感じることができて、幸せに見えてくるものです。
心の奥の深い意識で感じる五感。
- 眼-心の目で感じよう!
五感の中で「眼」から得る情報量は80%以上を占めると言われ、料理でも見た目に美味しそうに感じることができます。
しかし、目に飛び込んでくる映像と知識に頼るだけではなく、他の四感でも感じ取れるような「心の目」を持つようにしましょう。 - 耳-聴こえる音を感じよう!
電子音に囲まれている生活をしていても、耳を澄ませば自然界の心地よい音はいつも聞こえています。食事をしている時、テレビをつけていますか?食事の時、咀嚼の音が聞こえることも、食べられる幸せを感じる心地よい旋律に変わります。 - 鼻-香りを感じよう!
自然の草木の香りは、アロマになっているほどリラックス効果があり、自然界の中では懐かしい記憶を呼び起こす言われています。
臭いは食品の腐敗などの危険を察知するなど、大切な機能です。 - 舌-味を感じよう!
化学調味料の使用や、塩分・糖分過多の食事によって、自然の味を物足りないと感じるようになってしまっている現代人の私たち。できるだけ、シンプルな食卓を心がけて、素材を感じるようにしていきましょう。 - 身-直接触れて感じよう!
手を汚さない簡単料理や出来上がっている惣菜が増え、食についても生活面でも触れる機会が減りました。体で直接触れて、脳に刺激を与える行為を怠らないように気をつけましょう。
旬の野菜を大事にする
精進料理の主な食材は野菜・豆類・穀類・海藻・乾物です。
山のモノ・海のモノ・里のモノです。
その自然の恵みの力を引き出すのが「旬のモノ」です。
旬のモノにはその季節の自然の滋養がギューッと詰まっていて、味も風味もとてもよいため、体が喜び心が満ちて元気になります。
春には木の芽やうど・ふきのとう・わらび・菜の花…と、ほろ苦いものが多く、その苦味成分に冬の間に溜め込んだ脂肪を溶かす役目があります。
夏は、きゅうりやナス・トマトなど、溜め込んでいる体の熱を取り除き、酢の物にすることで一段と涼味が感じられ、体を浄化させます。
秋は辛味成分である唐辛子・生姜を使い、秋に出回る芋類やきのこ類を合わせることで、夏の弱った胃腸を元気にさせて、食欲増進してくれます。
冬は大根やカブなどの根野菜が出回り、油を使った料理で冷えた体を温め、冬の体力を維持していきます。
日本の四季の美しさと同じように、人の体も四季に応じて移り変わり、四季折々の食材を上手に使うことで体調も良くなっていくのは、精進料理だけではなく、薬膳でも同じです。
自然の流れに沿った生き方・食べ方が一番体が喜び・やさしい食事になります。
<健康を意識した目的別レシピ>
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