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植物のネバネバは「ムチン」と言ってはいけない?100年前から名称が間違っていた?

 

 

ネバネバは“ムチン”であるという誤報

現在、インターネットを中心に、野菜に含まれるネバネバを「ムチン」と呼ぶ情報が誤りであったということで、訂正削除が始まっています。

私のブログのユーザーが、忠告してくれたことでした。

ムチンの誤報は、明治の頃にまで遡り、国内だけで拡散されているもので、海外では全く違った認識であることがわかりました。

この誤報問題が、和食の国際化にあたり、国益に関わる重要案件であると言われているのです。

“ムチン”と言う名のものは動物性であり、日本国外の文献では植物由来のものは“ムチン”とは呼ばれていない。

 

私はこのブログでは、納豆の記事で“ムチン”については触れていません。

しかし、過去記事のネバネバ料理の時に“ムチン”と言葉を使用していたので、指摘されたのです。

この記事は訂正し、検索されないようにnoindexにしていますが、レシピ等があるのでブログ内で表示しています。

 

ネバネバはムチン…と、料理専門家や学者さん達も書籍で書かれています。

世間でも認識されている中、調べるには膨大な時間がかかるし、農水省も様々な地域の野菜の紹介などで、“ネバネバのムチン”と表現しているので、どうしたものか…と考えていました。

日本では納豆やオクラなど、ネバネバはムチンの働きによるもので、体に良いと結論を出しています。

しかし、もともとムチン(mucin) は動物の上皮細胞などから分泌される粘液の主成分である粘性物質で、植物性のものは存在しないため、科学的には植物由来のネバネバ物質を“ムチン”とは言ってはいけないということになります。

ムチンとされている動物性の化学式と、私達がムチンと思っているネバネバの化学式が全く違うことから、一括りで考えてはいけないものなのです。

100年も前から「ムチン」は粘性の高い糖タンパク質を指す言葉として使用されてきました。

明治時代から 多糖類はムチンと間違え、現在の研究者の中でも多糖をムチンと認識している人がいるようです。

現在もそのまま慣用的に使われていることが多くありますが、生物組織から得られる「ムチン」は化学物質として多様化され、粘性の糖タンパク質も研究によって数多く見つかりつつあることから、化学物質の名称としては使われなくなっています。

しかし、様々な一般書籍が簡単に伝える用語として“ムチン”と使っていることから、誤報が一般用語になってしまい、収拾つかなくなっています。

では、正しくは何と言ったらいいでしょう。

 

様々な文献を拾い上げると、「ムチン型糖タンパク質」「粘液性糖タンパク質」とか「多糖類」「多糖タンパク質」「ムコ多糖体」と言われています。

 

ムチン(mucin)はmucus(粘液)を語源とすることから、ただ単に「粘素」と訳されることもありました。

結局ネバネバは、「糖タンパク質の混合物」で食物繊維であるという結論でした。

多くの料理研究家や科学的検証する立場の人でさえも、ネバネバ成分を含む物をすべて“ムチン”とくくっていることから、一般用語として“ムチン”という通称の単語で話は通るような気がしてしまいます。

でも、効果効能をうたう場合には、大きな違いがあることなので、実際はもっとはっきりとした定義を農水省で定めてもらわなくてはいけない問題だと思うのです。

 

野菜類のPRや健康関連書籍、健康食品、健康番組では「ネバネバ成分のムチンが◯◯に良い」と、現在も語られています。

ムチンは動物性しか存在しないもので、植物には含まれない物質であることは、日本以外の文献では明確に表示されていました。

 

参考文献の一部
元理化学研究所研究員の文献

ムチンは英語で mucin と記載する。ミューシンというのが一番近い発音で、百歩譲ってもムシンである。ストレプトマイシンは-cinであり、コンドロイチンは -tin であり、それらが誤用されている例は、ムチンの他にはない。世界的に見ても-cin を「チン」と発音する例はなく、日本名がなぜ「ムチン」となったのかは謎である。これは明治大正あるいはそれより前の出来事のようだ。

科学的には、植物由来のねばねば物質をムチンとは言ってはいけない。セリン残基またはトレオニン残基のOH基が、単糖または糖鎖の 1 位の OH 基と脱水縮合した「O 型糖鎖」が、多量かつ密に含まれる高分子ペプチドが mucin と定義されている。今のところ、この構造が確認されているものは、すべて微生物あるいは動物由来であるが、日本では料理研究家や食品関係の研究者でさえも、山芋、オクラ、納豆などのねばねば物質を「見た目で」ムチンと呼ぶ習慣があり、広く流通している事典などにも記載がある。

これらの多くは別の物質で、構造からもムチンではない。学者の間で国際的かつ科学的に通じないだけなら、市民の「通称」を認めてもよいかもしれないが、健康食品や野菜類の PRや健康番組で「ねばねば物質が胃液のムチンの補充になる」などという科学的にも誤りであるうんちくが繰り返されているので、著者は適当ではないと考えている。

 

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誤報を知り、すぐに動いた企業

 

私のところに届いた、資料の一部を紹介します。

この事実がわかり、すぐに訂正した企業と、あくまで認めない企業とありました。

認めないで誤報を表示している企業は、私の中で留めておきますが、すぐに調べて消費者に正しい情報を提供している企業を紹介します。

 

カゴメ株式会社は“ムチン”を削除

理由は「ムチン型糖タンパク質」との誤解が生じかねないものであったため

削除した内容
里芋の皮をむくと出るぬめりには、粘膜を保護するムチンと免疫力を高めるガラクタンが含まれています。

 

松屋フーズは改稿しています。


とろろに使われる長芋に含まれるアミラーゼが消化と吸収を助け、ムチンが胃粘膜を保護するため消化吸収に良いと言われています。
改稿
とろろに使われる長芋にはアミラーゼが含まれており、消化吸収を助けると言われております。

 

デジタル大辞泉(小学館)

“ムチン”について


ポリペプチドに無数の糖鎖が枝状に結合した糖タンパク質の一種。唾液・胃液・涙など動物の粘膜の表面に分泌される粘液の他、山芋・オクラ・昆布・なめこなどの植物や菌類などにも含まれる

改稿
動物の上皮細胞・粘膜・唾液腺などが産生する粘性物質の総称。糖たんぱく質の一種で、アミノ酸がつながったポリペプチド鎖に糖鎖が枝状に結合した構造をもつ。
[補説]オクラや山芋などに含まれるぬめり成分もムチンと呼ばれることがある。これは高分子の多糖類とたんぱく質が結合したもので、動物の粘液に含まれるムチンとは異なる。

 

南江堂 “ムチン”を削除

南江堂さんは医学健康関係の書籍の出版社です。

食品工業総合事典のムチンの資料が古く、ムチンに関して調査不十分であることから、ムチンの記載を削除するとのことです。

 

疑わしきことは訂正、若しくは削除。

迅速な対応をしている企業は、他の問題でも安心できますね。

 

そして訂正拒否している企業が、反論している理由は、管理栄養士国家試験の中に植物性ムチンを肯定する問題があるから…とのこと。

国家資格を得る試験問題でも、植物性ネバネバを“ムチン”としているのであれば、ムチンじゃないよ…と、国が定義付けをしなければならないと思うのです。

 

ムチンの効果は嘘なのか?

 

名称の問題となっていますが、効能はどうなんでしょう。

あのネバネバの名称が“ムチン”でないとしても、「糖タンパク質の混合物」の食物繊維であるならば、体に良いことは想像できます。

このような問題で納豆や山芋・オクラなどのネバネバを食べることが無駄と思ってしまうことが、一番あってはならないことに感じます。

ムチンという効能を取り除いても、ネバネバ食材には多くの効能があります。

昔から作り出して食されている自然の恵みには、季節ごとに必ず意味があります。

そして、折角、世界無形遺産になった“和食”なのだから、世界の学者から指摘されるような問題は、早く解決してほしいと、切に願います。

 

食品の情報を提供する側として、調べに調べたとしても、このような問題が発生するものなのですね…。

これからも、何かありましたら、ブログに綴り、皆様に伝えられうように頑張ります。

 

 
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