TOMOIKU*ブログ
10.132019
精進料理“食禅”調和のとれた「精進だし」自分好みのダシを作ろう

Contents
“ダシ”は精進料理“食禅”の基本
精進料理で最も重要なのは“ダシ”だと考えられています。
野菜にも本来の持ち味があり、そうした繊細な食材の風味を引き出して、しっかり料理を支えてくれるのが“ダシ”です。
ダシは料理の中に入ってしまうものなので、それ自身は一切の主張はせず、目には見えないですが、しっかりとした“ダシ”があると、できあがった料理の味わいに雲泥の差が生じます。
直接自分の利益にならないような作業で時間と体を使うことに、面倒くさいと考えることもあると思います。
でも、表に見えないダシを、それでも丁寧にとることが、料理の味や見栄え以上に大切なものがある…と、“食の道”に繋がります。
“道”…柔道・剣道・書道・華道・茶道など様々な道が開けていますが、食についても「道(DOU)を学ぶ丁寧な暮らし」があります。
“ダシ”を粗末に考えてしまうと、単なる薄味料理になってしまいます。
簡易なダシで作られた料理に比べて、しっかりと時間をかけて作られたダシは、食材(命)と向き合った調理人の穏やかな気持ちが料理に染みわたります。
精進料理“食禅”のダシについて
精進料理のダシは、海藻や野菜などの植物性の旨味を利用します。
殺生をさけるため、肉や魚を避けるので、カツオや煮干し・鶏ガラなどは使いません。
精進料理の教え人の中には、明文化された統一定義などはなく時代背景によっては、牛乳・バターなどを使用してもよいのではないか?…という方もいらっしゃいます。
植物にも動物魚介類と同様、尊い命があるので、基本はどんな材料でも等しく大切に扱って、無駄にしないで調理する態度を忘れず感謝して調理すればよいのではないか…と言われています。
時代の流れもあり、私も当サイトの運営にてご理解していただけると思いますが、精進料理だけで生きていく道の選択をしていません。
私にとって精進料理は、「心と体を整える道しるべとして取り入れた丁寧な生活」をしていきたいと思って参考にしている分野です。
食べない五葷であるネギ・タマネギ・ニラ・ニンニク・ラッキョウは大好きですし、血液サラサラ効果もあります。
精進料理が確立された時代の社会や生活・食のあり方などが違うので、五葷は現代において食べた方が良い食材とも考えています。
考え方は人それぞれです。
当サイトの他のコーナー(薬膳・養生など)では五葷も使用し、おすすめしている食材であることをご理解いただけますようお願いします。
<TOMOIKU:精進料理“食禅”の基本:3つのルールと五感・旬の食材についてより>
精進料理“食禅”のダシの基本材料と作り方
基本となるのは、昆布と干し椎茸で、2種類を合わせて使う場合もあります。
その他に、野菜の皮や乾燥されている切干大根、大豆を煎ってダシにすることもあります。
精進「昆布だし」の作り方
昆布は旨味成分のグルタミン酸を多く含んでいるので、上品な風味と深い旨味を含んでいます。
ダシをとるのは「利尻昆布」煮物に加えるのは「日高昆布」と使い分けてつかうこともありますが、ダシで使った昆布を、その後に料理に使うことが多いため、「日高昆布」をつかう頻度が高いです。
手ごろな値段で再利用をしやすいので、おすすめは「日高昆布」です。
〇昆布の煮だし
昆布を5㎝角ぐらいにカットして、その1枚に対して1カップという目安になります。
水1カップ(200ml)に対して昆布2gの割合です。
例)水1リットルの場合は昆布10g
一晩冷蔵庫に寝かして、水だしをつくります。
ポットの水の中に昆布を3時間以上(できれば1晩)漬ければ「昆布だし」のできあがりです。
ゆっくりと沸騰させないように煮出し、昆布の表面に小さな泡がついてくるのが目安で、沸騰直前に火を止めます。
煮すぎてしまうと、ぬめりが出すぎてしまって、味を損なってしまいます。
多めに作ってしまったら、冷まして生活な容器に移し、冷蔵庫で保存しながら、2日間ぐらいで使い切りましょう。
そして、煮出しをしない無理に加熱しない水出し式でも、クセのないきれいな色のダシができます。
一度そのまま飲んでみてください。
日本のうまみの基本の味がします。
その昆布水を熱して、味噌や豆腐をいれるだけで朝の味噌汁になり、1日のスタートをするのに良質な栄養が摂れます。
※昆布の栄養については、別記事があります。
精進「椎茸だし」の作り方
椎茸は乾物で購入すると、高価な食材になりますが、生の椎茸を天日に干すことで旨味成分のグアシン酸が含まれ、濃い旨味の宝庫になります。
自宅で簡単にできるので、ぜひ椎茸は天日干しして、栄誉満点の状態で召し上がってほしいと思います。
干し椎茸1枚に対して1カップの水を注いで、一晩冷蔵庫で寝かせます。
軽く水気を絞った椎茸を取り出して、戻し汁をだしとして使います。
戻し汁は鍋に移し強火にかけて、冷まして清潔な容器に移し、冷蔵庫で保存して2日間ぐらいは使えます。
残った椎茸は、料理などに加えて食べるようにしましょう。
乾燥椎茸の栄養については、別記事があります。
精進「大豆だし」の作り方
大豆をフライパンで煎ります。
フライパンの上でカラカラから、コロコロという音になり、またカラカラと軽い音になったらできあがりです。
大豆50gに対して、水2と1/2カップ(500ml)が適量で、鍋に水を入れて火にかけ、沸騰したら火を止めて大豆を入れて半日ほど置いておきます。
軽い感じの大豆だしができあがります。
精進「野菜の皮だし」の作り方
野菜の皮のだしを作るとき、ちょっと気を付けたいのが、農薬が多く使われていないものが理想です。
生の状態でもダシは取れますが、旨味や栄養アップのためにも、天日干しをしてからだしにすると甘味のある美味しいだしが取れます。
野菜の皮がひとつかみに対して水が水2と1/2カップ(500ml)が適量で、水と野菜の皮を入れて弱火にかけ、沸騰する直前で火を止めて野菜を取り出します。
精進「かんぴょう・切干大根だし」の作り方
切干大根・かんぴょうは野菜の皮だしの大根を乾燥させたものと同様ですが、切干大根など安価に売られていることから、手間がかからないだしができます。
切干大根やかんぴょうは、よく揉み洗いをして日向臭さをのぞいてから、水気をしっかりと絞って使います。
かんぴょう、若しくは切干大根50gに対して、水2と1/2カップ(500ml)が適量です。
適当な長さに切ったかんぴょうや切干大根を、鍋に水を入れて火にかけ、沸騰したら弱火にしてやわらかくなるまで茹でて、だしとして使う場合はかんぴょう・切干大根を取り出しますが、すてることなく、料理につかいましょう。
2種類のだしを合わて自分好みの「精進だし」を作ろう!
紹介しているだしは、単品でつかわなければならない訳ではなく、昆布と椎茸でつくると、昆布のグルタミン酸・椎茸のグアニル酸が旨味が強いだしが取れます。
野菜の皮だけでは旨味が足りないと感じた方は、昆布や椎茸などをプラスしてもおいしく出来上がります。
だしには好みがありますので、好きな材料の比率で、自分好みの「合わせだし」ができあがるといいですね。
顆粒でできている化学調味料が配合されているだしに慣れていると、物足りなさを感じるかもしれません。
だしだけをゆっくり楽しむことで、素朴な精進料理を感じることができると思います。
一度、“だし”だけを飲んでみてくださいね。
<健康を意識した目的別レシピ>




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